子育て・赤ちゃんの悩み

ダウン症の赤ちゃんの特徴とは?エコー診断や赤ちゃん体操の方法について

先天性疾患の中でもよく耳にする「ダウン症」ですが、ダウン症の赤ちゃんにはどのような特徴があるのでしょうか?見た目だけではなく、成長過程においても様々な特徴が見られます。気になる診断について、ダウン症特有の筋肉の発達の遅れをカバーするのに効果的な「赤ちゃん体操」の方法もあわせてご紹介します。

2018年01月12日更新

にし かすみ (養護教諭)

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[1]ダウン症とは?

医学的な定義

ダウン症(ダウン症候群)とは、ヒトの遺伝情報をつかさどる22組(性染色体を含めると23組)の染色体のうち、21番目の染色体が通常は2本で構成されるところ、3本で構成される先天性疾患です。「21番目が3本になる」という意味で「21トリソミー」とも言われます。

  • どうして起こるの?
  • 親から子へ遺伝情報を伝える際に、染色体は分裂・増殖を繰り返しその数を増やしていきます。その分裂・増殖の過程の途中でミスが起こり、通常とは異なる形態のまま子に伝わってしまうことで起こります。イギリスのダウン博士から名付けられ、世界で約1,000人に1人の割合で生まれます。

  • 治療で治せるの?
  • すでに組み込まれてしまっている染色体の異常なので、ダウン症そのものを治療することはできません。発達段階などで現れる成長の遅れに対しては、生活環境の中での工夫や療育を利用することにより、生きづらさを軽減することはできます。また、多くの割合で伴う心疾患などの合併症は治療することができます。

いつから診断できる?

出生前診断を行うことにより、妊娠中から赤ちゃんがダウン症である可能性を検査することができます。それぞれに受けられる妊婦の条件や、妊婦・赤ちゃんに対するリスク、検査の精度が異なります。

  • エコー写真
  • 現在のエコー写真には2D(平面)・3D(立体)・4D(立体的な動画)と種類があり、おなかの中の赤ちゃんの様子を見ることができます。エコーで見える赤ちゃんの外見的特徴から、ダウン症の可能性があるかどうかを見ることができますが、あくまで可能性であり、確定的な診断ではありません。ダウン症の可能性がある赤ちゃんの特徴として以下のものが挙げられます。

■手足が短い(FL:Femur Length)
■後頭部の浮腫(NT:Nuchal Translucency)
■頭が大きい(BPD:Biparietal Diameter/FOD:Front Occipital Diameter)
■首周辺の腫瘍(リンパの流れが悪いことによる)
■心疾患(心エコーによる)

これらの値が基準値を下回る・上回る場合に、「ダウン症の可能性がありますね」というお話がされることがあります。確定ではありませんが、心疾患の有無などについては早くにわかることでその後の妊娠生活で注意を払うことができたり、出産後の治療計画が立てやすくなったりします。赤ちゃんの向きにより見えにくいこともあるのではっきりと何週目からわかる、とは言えません。

  • 母体血清マーカー(クアトロ)テスト
  • 妊婦の血液を少量採取し、血中のタンパク質やホルモンなどの成分の濃度を調べる検査です。確定診断ではなく確率を推定するもので、精度(陽性または陰性の診断が的中する確率)は約87%と高くはありません。ただし妊婦からの採血なので流産などのリスクは少なく、費用も10,000~20,000万円と負担が少なくて済みます。妊娠15~21週に受けることができ、血清マーカーテストが陽性だった場合は、羊水検査や絨毛検査を確定診断として受けることが推奨されます。

  • 羊水検査
  • 妊婦のおなかに注射器をさし、羊水を採取して羊水中の赤ちゃんの細胞から、染色体などの疾患がないかを調べる検査です。妊婦のおなかに注射をするため、0.3%ほどの流産のリスクが生じます。ただし精度は99%と高く、ダウン症の確定診断にも用いられます。妊娠15~18週に受けることができ、費用は産院により異なりますが10~15万円が一般的です。

  • 絨毛検査
  • 羊水検査と同様に妊婦のおなかに注射器を指し、絨毛と呼ばれる胎盤になる前の組織を採取して、その細胞を検査します。妊婦のおなかに注射をするため、約1%の流産のリスクが生じます。羊水検査よりもリスクが高くなるのは、一般的に妊娠週数が早いほど流産のリスクも高くなるためであり、検査自体のリスクが高いわけではありません。精度は99%と高く、ダウン症の確定診断として用いられます。羊水検査との大きな違いはその検査時期で、妊娠9~14週と比較的早い時期に受けることができます。費用は10~20万円が一般的です。

  • 新出生前診断(NIPT)
  • 妊婦の血液を少量採取し、血中の遺伝子を解析することで、赤ちゃんに遺伝子異常・染色体異常がないかを調べる検査です。母体血清マーカーテストと同様に、流産のリスクは少なく妊婦の負担も少なく済みます。また、母体血清マーカーよりも精度が高く、特に陰性的中率(「ダウン症ではない」と診断された場合の的中率)は99.9%となっています。ただし確定診断には用いられません。また、保険適用外の自由診療となるので、費用は20万円程度かかります。加えて、新出生前診断を受けられる妊婦の条件があり、該当しない場合は希望しても検査を受けることができません。

■出産予定日の時点で妊婦が35歳以上となる高齢出産である
■妊婦本人またはご主人に染色体異常がある
■これまでに13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー(ダウン症)いずれかの染色体異常の赤ちゃんを妊娠・出産したことがある
■今回の妊娠で、エコーや母体血清マーカーテスト等の検査により赤ちゃんが染色体異常である可能性を指摘されている

これらの条件に該当する場合のみ検査を受けることができます。妊娠10~18週に検査を受けることができます。全ての産院で実施しているわけではないので、検査を希望する場合はお住まいの都道府県・地域で実施している病院を調べておきましょう。

[2]ダウン症の赤ちゃんの特徴

ダウン症の赤ちゃんは、見た目でわかりやすいので何かと注目されがちですが、実は育ててみないとわからない成長段階での特徴もあります。染色体は、無数の遺伝情報をつかさどっています。その中で同じ身体の部分や身体機能の遺伝情報をつかさどる染色体に異常が生じるため、ダウン症の人には似た特徴が現れるのです。

顔などの外見に現れる特徴

見た目で「この人ダウン症かな?」とわかることがあると思いますが、よく見ればそれぞれお母さん・お父さんの特徴をしっかり受け継いでいます。ダウン症の赤ちゃんみんながまったく同じ顔をしているわけではなく、あくまで特徴として現れる要素が似ているにすぎません。その特徴の代表的なものをご紹介します。

  • ■ぱっちり二重
    ■目尻がつり上がっている
    ■目と目の間隔が広い

  • ■低い
    ■鼻根部が広く、横に広がっている
    ■鼻の穴が正面を向いているように見える(いわゆる豚鼻)

  • ■低い位置についている(目尻より下についていることが多い)
    ■上部が折れ曲がって丸っこく小さく見える

  • ■分厚い(口に収まらず出たままになっていることがあり、よだれの量が増える)

  • 首・横顔
  • ■首のうしろの肉付きがよい
    ■後頭部が平ら
    ■丸顔

  • ■ますかけ線・猿線といい、手のひらのしわ(線)が横に1本走るのみになっている
    ■小指の関節が1つ少ない(付け根を合わせて2関節しかない)
    ■指が短く手が丸っこく見える

  • ■短い
    ■親指と人差し指の間隔が広くあいている

成長過程に現れる特徴

すべての特徴がダウン症の赤ちゃんに現れるわけではありませんが、傾向として以下のものがあります。これらの特徴により育てにくくなるのか、というと一概には言えず、逆に育てやすい一面もあります。

  • 身体のやわらかさ
  • ダウン症の赤ちゃんは一般の赤ちゃんに比べて身体全体の筋肉量が少なく、筋緊張が弱くなっています。そのちがいは特に抱っこしたときの身体のやわらかさでわかるようです。ただお座りができないなどによる身体を預けてくる感覚とはちがい、「くにゃり」と曲がってしまうようなやわらかさがあります。このため運動機能はゆっくり発達することが多く、つかまり立ちや1人歩きができるようになるまで時間がかかる場合が多くなります。

  • 泣かない、動きがおとなしい
  • まったく泣かないわけではありませんが、おなかが空くときやオムツを替えてほしいときでも泣かないことが多いです。そのためお母さんは、ミルクやオムツのタイミングをこまめにチェックしてあげる必要があります。泣き声はやはり力が弱いので、小さな声であることが多いです。手足を動かす力も弱いので、動きがおとなしく見えます。

  • よく眠る
  • 夜泣きや機嫌が悪いときに泣くことが少なく、よく眠ります。この点では育てやすいと感じるお母さんも多いようです。夜もぐっすり6~8時間朝まで眠る、なんていうこともあります。

  • ミルクを吸う力
  • 身体全体の筋肉量が少ないため、舌や口周辺の吸てつ(おっぱいや哺乳瓶に吸いつくこと)に必要な筋肉も弱い場合が多いです。そのため飲むのに時間がかかったり、疲れて途中で飲むのをやめてしまったりします。また、身体のやわらさにより、授乳の姿勢がなかなか定まらないことも関係しています。

    成長に必要な栄養を確保するため、搾乳や粉ミルクも使いながら、授乳の回数を増やすなどして対応していきます。しかしそれでも飲む量が少なくなってしまうことが多く、なかなか体重が増えないなど身体の成長もゆっくりになります。

  • 便秘になりやすい
  • ダウン症の赤ちゃんは腸の動きが悪く、便秘になりやすいと言われています。便秘には、まったく便が出ない状態だけではなく、便の水分量が少なくコロコロしていたり、硬かったりする状態も含みます。腸の動きが悪いと便が腸の中に停滞する時間が長くなり、水分がどんどん超へ吸収されてしまいます。

    加えて、ダウン症の赤ちゃんは筋肉量が少ないため排便の際に上手にいきむことができず、排便に時間がかかります。便秘の予防・解消のためには水分の摂取、マッサージなどが効果的です。「赤ちゃん体操の方法」も参考にしてみてください。

性格面の特徴

明るく穏やかな性格の赤ちゃんが多いと言われています。音楽やダンスが好きで、身体を動かして楽しく遊びます。こだわりが芽生えると少々頑固な一面もあり、切り替えが苦手な場合もあります。ニコニコ楽しそうにしていることが多いですが、感情と表情が一致していないこともあり、自分の気持ち・意思を伝えるのが苦手な子もいます。人とかかわるのは好きなので、発達段階や生活環境に応じたコミュニケーション手段の習得をサポートしてあげることで改善します。

[3]赤ちゃん体操でコミュニケーション

赤ちゃん体操とは、「ベビー体操」「ベビービクス」とも呼ばれ、まだ自分の力で思うように動けない生後1歳頃までの赤ちゃんとお母さん・お父さんが一緒に行う体操です。運動が活発になってくる生後2ヶ月頃から開始するのが一般的ですが、新生児期はもちろん、障害や病気を持って生まれてきた赤ちゃんに対しても、それぞれの発達に合わせて行うことができます。赤ちゃんの運動不足や冷えを解消し便秘予防・解消にも効果的です。

ダウン症に赤ちゃん体操がいい理由

筋肉量が少なく運動に必要な力が弱いダウン症の赤ちゃんに対して赤ちゃん体操を行うことで、筋肉の発達を促し、適切な姿勢を身につけることに繋がります。「できることを増やす」ことで赤ちゃんの心の発達にも繋がり、またお母さん・お父さんとふれあいながら行うことで親子ともにリラックスしたり愛着が深まったりする効果もあります。

参考文献:ダウン症児の赤ちゃん体操―親子で楽しむふれあいケア

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赤ちゃん体操の方法

部屋の気温は20度前後に保ち、ほこりがない換気が行き届いた状態で行いましょう。赤ちゃんは肌着、または裸でも構いません。やわらかい布団の上よりも、マットレスや床にタオルをしくなど少し固さがある方が体操しやすくなります。

  • 生まれたてから
  • ■手の体操
    赤ちゃんの手のひらにお母さん・お父さんの親指をそえたり離したりして、握る・離すの運動を行いましょう。赤ちゃんがお母さん・お父さんの親指を握った状態で、ほかの指で赤ちゃんの手を包むように持ち、肘の曲げ伸ばしの運動を行いましょう。

    ■股関節の体操
    赤ちゃんの膝からももの外側に手を添えるようにして、足を外に開く・閉じる運動を行いましょう。オムツ交換のときに行うのがおすすめです。

  • 首が座る頃から
  • ■あおむけの体操
    赤ちゃんがあおむけに寝た状態で、背中と床の間に手を差し込み、頭は床につけたままで背中・腰を少し持ち上げます。まだ首が座らない赤ちゃんには、首周辺の筋肉の発達を促す運動です。

    ■うつぶせの体操
    赤ちゃんがうつぶせに寝た状態で同様におなか・腰を少し持ち上げます。窒息に注意して、短時間で行いましょう。

    ■股関節・膝の体操
    膝を外側からすくうように支え、足を外側へ開く・閉じる運動を行います。膝の曲げ伸ばしは赤ちゃんに任せて行いましょう。できるようになったら足首を指で挟むように支え同様に膝を伸ばした状態で行います。

  • 寝返りができたら
  • ■腕の体操
    赤ちゃんに親指を握ってもらい、ほかの指で赤ちゃんの手を包むように支え、両腕を外から内へクロスするように動かします。手首だけではなく腕全体を肩関節から動かすように意識しましょう。肘を中心に曲げ伸ばしの運動も行いましょう。最初は片腕から、できるようになれば両腕同時に曲げ伸ばしをしてみましょう。

    ■足の体操
    赤ちゃんの足首を指で挟むように支え、ももをおなかにつけるようなイメージで、足全体の曲げ伸ばしの運動を行います。最初は片足ずつ、できるようになったら両足同時に行いましょう。

  • おすわり・ハイハイができたら
  • ■腕・肩の体操
    赤ちゃんに親指を握ってもらい、ほかの指で赤ちゃんの手を包むように支えます。体側に手をそろえた「きをつけ」の状態から腕全体を持ち上げてバンザイの形へ、身体から遠いところを手が通るようにして元の状態に戻します。赤ちゃんが喜ぶ速さで行いましょう。

    ■膝・股関節の体操
    赤ちゃんの足首を包むように支え、歩く動作のように膝を交互におなかに近づけ曲げ伸ばしの運動を行います。

    ■キック体操
    赤ちゃんの足の裏に手を添えて、両膝をぐーっとおなかにつけるように深く曲げます。かかとをおしりに近づけるように押すと、赤ちゃんはその手を蹴り返し膝を伸ばそうとします。

  • 歩き始めたら
  • ■腕・肩の体操
    赤ちゃんが座った状態または立った状態で向かい合います。親指を握ってもらい赤ちゃんの手を支え、片腕ずつ交互に身体の外側に肘をひくようにして曲げ伸ばしの運動を行います。リズムをつけたり歌を歌ったりして声かけをしながら楽しんで行いましょう。

    ■引き上げ体操
    親指を握ってもらい赤ちゃんの手を支えます。赤ちゃんの腕に力が入っていることを確認し、ゆっくり引き上げます。赤ちゃんの様子を見て静かに下ろしましょう。

  • 遊び道具を使って
  • 指を握ってもらう代わりに、いろんな感触のおもちゃを握ってもらうのもおすすめです。冷たい、やわらかい、つるつる・・・初めて出会う刺激は赤ちゃんの好奇心をくすぐります。

[4]ダウン症と赤ちゃんポスト

赤ちゃんポストとは?

なんらかの理由で親が育てられない子を匿名で預けることができる仕組みのことで、日本では唯一、熊本県の慈恵病院に「コウノトリのゆりかご」という名前で設置されています。あくまでも目的は「命の保護」ですが、親の育児放棄を助長するとして否定的な意見も多くあるのが現状です。2007年5月の運用開始から10年が経過し、預けられた子は合計130人に上ります。

  • 赤ちゃんポストと障害児
  • 預けられる理由としては、「望まない妊娠だった」「交際相手との関係が途絶え経済的に育てることが困難になった」「子がなんらかの障害を持っている」などさまざまです。預けるより先に相談できるようにとの働きかけが行われていますが、赤ちゃんポストの目的である「命の保護」を逸脱した「命の選定」になってしまわないよう働きかけが求められます。障害だから、病気だからという理由で唯一の親との関係が失われてしまわないよう、どんな子でも社会が協力して育てていけるような仕組みが必要とされています。

[5]障害名や特徴だけにとらわれないで

見るべきなのは、障害や特徴ではなく、その子本人です。喋るのが苦手、運動が苦手など、私たち大人もそれぞれ得手不得手があるように、ダウン症の子にもそうではない子にも得手不得手があるのです。ひとりひとりの持つ力や『好き』に合わせて、周りも楽しみながらサポートしていきましょう。

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