妊娠・出産の悩み

妊婦さんこそ歯医者に行くべき!?定期検診や治療内容、赤ちゃんへの影響について

妊娠中は体や心に大きな変化がおこります。特に妊娠中は虫歯や歯周病になりやすいと言われてます。しかし、妊娠中に歯医者に行って治療をしていいのか、赤ちゃんに影響しないのか不安もありますよね。そこで今回は妊娠中にいつ歯医者に行った方がよいのか、そして治療を受けるときの注意点についてお話します。

2017年09月14日更新

ほり まや (助産師)

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記事の目次

[1]妊婦さんは歯医者で定期検診を受けましょう

妊娠中はつわりで食事が変わったり、人によっては歯みがきが難しかったりする時期もあり、口の中の状態が変化しやすい時期でもあります。今まで異常がなかった人も歯医者で定期検診を受けましょう。妊娠中に検診を受けて早期発見・早期治療をしておくことで、お母さんだけでなく、生まれてくる赤ちゃんの健康を守ることにもつながります。

妊娠中は虫歯や歯周病になるリスクが高くなる

妊娠中は唾液の分泌量が減り、胃液の嘔吐によって口の中が酸性に傾きやすく、虫歯になりやすい状態にあります。その上、つわりによる苦しさで歯みがきを怠りがちになることや、食事や間食の回数が増えるため口の中に不衛生な状態を作り、さらに虫歯になりやすくなります。また、妊娠中は女性ホルモンの分泌が盛んになり、それを好む歯周病菌が繁殖しやすくなります。そのため、歯周病になりやすい状態でもあるのです。

虫歯菌は赤ちゃんにうつる

虫歯になる原因は虫歯菌です。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌は存在していません。歯がはえて1歳ごろをピークにして家族、特にお母さんがキスや同じ箸、スプーンなどを使うことで唾液を媒介して虫歯菌をうつしてしまうことが多いのです。そのため、赤ちゃんに接する人の口の中を清潔にして虫歯菌を減らしておくことが重要になります。

歯周病になると早産や低出生児出産のリスクが高くなる

近年、妊婦が歯周病にかかっていると、サイトカインといわれる炎症物質が胎児の成長に影響を与える他、子宮収縮を促すことで早産(妊娠37週未満の出産)や出生体重児出産(2500g未満の出産)のリスクが高くなることが明らかになっています。なんと、歯周病にかかっている妊婦の早産や低出生時出産のリスクは実に7倍に高まるという報告があるのです。
参考文献:日本臨床歯周病学会

妊婦が定期検診を受けるタイミング

では、妊婦さんはいつ定期検診を受けるとよいのでしょうか。妊娠中、歯医者に行ってはいけない時期は特にありません。その中でもつわりが落ち着き、母体の状態が安定しやすい妊娠中期(5~7ヶ月頃)に定期検診を受けることをオススメします。

妊婦さんの定期検診の費用はいくらか

妊婦の定期検診の費用は住んでいる地域により様々です。補助があり無料となる地域と、一部負担だったり、まったく補助がでない地域があります。まずは、妊婦の定期歯科検診が実施されているか、どのような方法で実施されているかを住んでいる地域の市役所や保健所で確認してみることをオススメします。また、妊婦の定期検診を行っていない地域でも、歯医者次第では、安く対応してくれる場合があります。かかりつけの歯医者などに相談してみるのも一つの手でしょう。

[2]妊婦の歯科治療はいつからいつまでに受けたほうがいいのか

基本的に妊娠中、歯科治療を行ってはならない時期はありません。虫歯や歯周病が見つかって治療を受ける時、歯医者で使用される薬や麻酔が赤ちゃんに直接影響を与えることは少ないですが、お母さんの体調面を考えると、妊娠中期(5~7ヶ月)に入ってからのほうがよいでしょう。


出産後は育児に追われたり、子どもの面倒をみてくれる人がいないなどの理由から治療を放置し、悪化させてしまうことが多くあります。そうならないためにも妊娠中に治療を終わらせておきましょう。

妊娠期別に見た歯科治療

ここからは妊娠期別に見た歯科治療について説明していきます。

妊娠初期(1~4ヶ月頃)

妊娠初期はつわりにより、歯医者のにおいや少し口の中に器具を入れられるだけで吐き気がすることもある時期です。また、流産しやすい時期でもあるので過度な緊張によるストレスがある治療や長時間にわたる治療は避けたほうが良いでしょう。痛みがある場合は応急処置だけにとどめて、妊娠中期に入ってからしっかり完治のための治療を行うことをオススメします。

妊娠中期(5~8ヶ月頃)

妊娠中期はつわり症状が落ち着き、体調が安定してきます。また妊娠初期に比べると流産の可能性も低くなってきます。そのため、妊婦健診を受けている産婦人科の医師から、安静などの特別な指示がない限りは、問題なく治療を受けることができます。この時期は、虫歯や歯周病の治療や麻酔が必要な抜歯など、ほとんどの歯科治療を行うことができるため、積極的に治療を行い、歯のトラブルをなくしておきましょう。

妊娠後期(9ヶ月頃~)

妊娠後期も治療をすることは可能です。しかし治療中の仰向けの姿勢は、お腹が圧迫されて息苦しさや気分不良を招いてしまう可能性があります。また、医師から切迫早産と言われている人は安静にしている必要があるため、治療は控えたほうがよいでしょう。10ヶ月に入ってからは陣痛や破水がいつ起こるかわからないので、妊娠経過が順調な人も控えたほうが安心です。急を要さなければ応急処置や予防処置に留めておくことをオススメします。しかし、どうしても治療が必要な場合は妊婦健診を受けている産婦人科の医師に相談しましょう。

妊婦さんの受けられる治療とは

妊娠中、一般的な歯科治療を受けられます。そうは言っても妊娠中にレントゲンや麻酔を使用することに対して赤ちゃんへの影響が気になりますよね。そこで、妊婦が受けられる歯科治療と避けたほうがよい治療について詳しく説明します。

妊婦さんの受けられる治療:虫歯の治療

妊娠中の虫歯治療は一般の人と変わりません。必要であれば、レントゲンを撮り、診断します。痛みがあれば麻酔をして治療を行います。虫歯が軽度だと、虫歯を削って詰め物を行います。また神経部分まで虫歯が達していると、抜歯を行うこともあります。

妊婦さんの受けられる治療:歯周病の治療

歯周病は一度悪化すると完治させることは難しい病気です。歯と歯の間をきれいにみがくことが歯周病を進行させない最も効果的な方法になります。出産前にもう一度歯みがきの方法を見直して、歯と歯の間をみがく習慣を身につけましょう。歯ブラシだけでなく、デンタルフロス等をうまく利用することもオススメです。

妊婦さんの受けられる治療:クリーニングやフッ素塗布など歯科予防の治療

娠中は歯茎がはれやすく、出血しやすい状態となります。この出血と歯垢(プラーク)によって歯石が作られ、さらに歯茎の腫れを悪化させて歯石がつきやすくなってしまうという悪循環を招いてしまいます。一度付いてしまった歯石は自宅での歯ブラシケアでは取り除くことができません。歯石は歯周病を進行させる原因になるため、定期的に歯医者でクリーニングを行って歯石を取り除きましょう。また、虫歯予防のためのフッ素塗布も妊娠中にできる治療です。

妊婦さんの受けられる治療:矯正治療

妊婦さんの中には矯正治療を行っている方もいらっしゃるでしょう。矯正治療は、適切な時期に適切な治療を受けることが大切になってきます。基本妊娠中であっても、矯正治療をそのまま続けることができます。治療を行っている歯科医師と相談して継続した治療を行えるようにしましょう。

気になる赤ちゃんへの影響

妊婦さんレントゲンをとっても大丈夫?

歯医者でのレントゲンの場合、歯の部分のみをうつすものです。また、鉛でできた防護エプロンをお腹につけて撮影するため、赤ちゃんに直接影響することはありません。少なくとも妊娠中期(5ヶ月~)に入っていれば気にするほどではありません。

妊婦さんの麻酔は?

歯医者で一般的に使用される麻酔は無痛分娩の時にも使われている麻酔薬であり、局所麻酔です。通常量の使用では赤ちゃんに麻酔薬が届くことはないため、赤ちゃんへの影響はありません。

妊婦さんに痛み止めは使えるのか

治療後、痛みが強い場合には痛み止めを出されることがあります。妊娠中に使える痛み止めにはカロナールという薬があります。この薬は赤ちゃんへの悪影響はないので、用法・用量を守ったうえで安心して使用してください。妊娠中に使えない痛み止めもありますので、必ず妊娠中であることを歯科医師に伝えた上で痛み止めの処方をしてもらうようにしましょう。

妊婦さんが避けたがいい治療

親知らずの抜歯

親知らずの抜歯は、他の歯の抜歯に比べてはれや痛みが強くなりやすいです。その場合、長期にわたって抗生剤や痛み止めを飲むことが必要になることがあるため、できれば妊娠中の親しらずの抜歯は避けたほうが良いでしょう。しかし、中にはどうしても治療が必要な場合もあります。妊娠中であることを考慮した上で歯科医師と相談し、治療を行っていきましょう。

インプラントなど緊急でない外科的治療

インプラントや歯周外科手術といった、緊急ではない外科的な治療は行わないほうがよいでしょう。外科的治療を行うことで、こちらも長期にわたって抗生剤や痛み止めが必要になることがあるため、赤ちゃんへの影響を考えると、妊娠や授乳期間を終えてから落ち着いて治療することをオススメします。

[3]妊婦さんが歯医者へ行く時に気を付けること

妊娠中に歯医者へ行くときに気を付けるべき点を以下にまとめました。

母子手帳を持参する

母子手帳には妊娠中の健康状態が記載されています。歯医者で妊娠中の健康状態を知ってもらうことは大切なことなので必ず持参しましょう。また、母子手帳の中には「妊娠中と産後の歯の状態」というページがあり、そこに検診や治療の内容を書いてもらいましょう。

妊娠していることを医師に伝える

妊娠しても週数によっては見た目で妊婦さんであることに気づきません。妊娠していることで薬を考慮してもらう必要があることもあります。そのため、必ず自分から妊娠中であることを医師に伝えるようにしましょう。

体調に合わせた治療を

妊娠中は日々の体調が違います。歯医者の予約日に体調が悪くなることもあるでしょう。体調が悪い日は予約日をずらしてもらうなど体調に合わせた治療を行っていくことが大切です。

楽な姿勢が大切

妊娠中は同じ姿勢で長時間いると苦痛を感じやすかったり、お腹が大きくなってくると仰向けの姿勢で息苦しくなったりすることがあります。治療中に苦しくなったときは無理をせずにそのことを伝えて、休憩をさせてもらうなど、楽な姿勢で治療を受けられるように配慮してもらいましょう。

トイレは我慢しない

妊娠中はホルモンの関係やお腹の圧迫によりトイレが近くなります。我慢しないで治療中でも遠慮せずに医師に伝えて、トイレに行きましょう。

[4]妊婦さんにおすすめ歯医者の選び方

歯医者はコンビニより多いと言われるくらい身近にたくさんありますよね。そんな数ある歯医者から自分に合う歯医者を選ぶことは難しいことでしょう。そこで、本当に妊婦さんのためとなる歯医者選びのポイントをお伝えします。


 

妊娠中のお口の健康の大切さをしっかり教えてくれる

妊娠初期から産後までの女性ホルモンは変化していきます。その変化に伴い、口の中の環境も変化していきます。その一連の変化や口の中の健康が、安全な出産のために大切であることを妊婦さんがわかるようにしっかり教えてくれる医師のいる歯医者だと安心です。

わかりやすく説明したうえで必要な治療を必要なだけ行ってくれる

お金儲けのためだけに必要のない治療まで行う歯医者もあります。妊婦さんが虫歯と歯周病の両方に対してのリスクが高まることを理解した上で、わかりやすく説明し、その根本に対して必要な分だけ治療を行ってくれる歯科医師のいる歯医者であればベストなケアを提供してもらえるでしょう。

妊婦さんがストレスフリーな状態で治療を行ってくれる

妊娠中は心も体も不安定になりやすい時期です。その不安定な状況を理解し、妊婦さん自身がストレスフリーな状態で治療を行ってくれる気遣いがある歯医者をオススメします。

[5]妊婦さんこそ歯医者へ行くべき!

妊婦さんは女性ホルモンやつわりの影響により、口の中の環境が悪くなりやすいです。そのため虫歯や歯周病のリスクが高くなります。妊娠しているからといって、治療を先延ばしにしているうちに症状が悪化すると、結局は治療に時間がかかってしまいます。また、痛みなどの症状によってうまく食事がとれなくなってしまい、母体にも赤ちゃんにもいいことはありません。歯医者に行く時期や、治療を受ける際の注意点を知って治療を受けることで安心して治療を受けられます。妊婦さん自身の口の中が健康であることは、安心して出産をむかえること、そして生まれてくる赤ちゃんの健康を守ることにもつながるのです。妊婦さんこそ、歯医者を上手に活用し、定期健診をうけ、早期発見し、早期治療をきちんと受けるべきなのです。

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